コラム
[浮き玉の競り合い]
アラス.コラム vol.11
ゴール前の浮いているボールです。ゲームでゴールを演出する確率の最も高いシーン。たとえばコーナーキック、ペナルティー付近でのフリーキック、また流れの中からのセンタリング(ゴール前に放り込むパス)やアーリークロス。ゴールの臭いがプンプンしてきます。攻撃側からすれば決定機であり、守備側からすればなんとかはじき返したいぎりぎりのプレーとなります。これで試合の勝敗が決まってしまうことなんかしばしばです。
日本の課題...ゴール前
いいFW(ゴール前にる攻撃選手)は、放り込まれたボールをまず1回のタッチでシュートを狙ってきます。ドイツ代表のクローゼなど代表的なゴールハンターです。それは、GK(ゴールキーパー)やDF(守備側)が横から飛んでくるボールに目を奪われている隙にシュートを打ってしまえば、シュートに対して反応する時間を与えないからでしょう。
しかも点取り屋といわれるFWは、まず頭でのシュートを狙ってくるのが特徴的
それではこのぎりぎりのシーンを回避するためにはDFは何を武器に、また決定機を逃さないためにFWは何を武器に闘えばいいのでしょうか。
①ポジショニング
と一言で言ってもとても重要で奥の深い狙いがそこにはあります。DFから見て左から飛んでくるボールをイメージしてみてください。相手FWに対して自分の身体の何処をつかって競り合えばいいのでしょうか。フリーな状況では単純に落下地点から外へ向かってヘディングでクリア(ボールをはじき返す)すれば済むのですが、レベルが高くなればなるほどなかなかそのような精度の低いボールは来てくれません。
「飛んでくるボールと反対側の半身で相手を抑える。」
DFの左からのボールに対して右半身で相手と競った場合相手は右側にいます。反対のDFの右からのボールでは、相手を左半身で抑えてればOK。
それでは反対にFW側は自分の何処を使って競り合えばいいのでしょうか。
「飛んでくるボールと反対側の半身で相手を抑える。」
FWから見て右から飛んでくるボールに対して自分の左半身で相手DFを抑えれば相手は自分の左側にいるはずです。
つまり攻守ともにポジショニングで勝負あり
②肘の位置
次に良いポジショニングがお互いできたとしましょう。さてどうすれば競り合いに勝てるのでしょうか。それは、相手より肘を高く入れてしまえば相手がジャンプしてもより高く飛ぶことは不可能です。
③踏み切る足
どちらの足で踏み切ればいいのでしょうか。このあたりが「ヒント」です。
FWならシュートを打ちたい方向。DFならクリアしたい方向の足。実は①で使う半身と同じ足で踏み切ることが隠されています。相手を抑えるために、軸足を使いたい側の脚で踏み切り、相手を抑えながらタイミングよくヘディングを打つのです。このイメージできた選手は「ゴール前での武器」を持つことになります。
少々入りこんだお話となってしまいましたが....センターバックが常に相手に対してこのような「狙い」持ったポジショニングを繰り返し、センターフォワードが「狙い」を持った競り合いの中からシュートを放ち続ける....。
ゴール前での「浮き玉の競り合い」に勝つ。
今の日本サッカーの大きな課題と感じています。
[鬼ごっこ]
アラス.コラム vol.12
サッカーのゲームでよく裏を取るとか取られるという言葉を耳にします。
「裏」とはどうことなのでしょうか?
裏をとればチャンスになる。とられてしまうとピンチになるというコトくらいは想像できますがいまひとつはっきりしません。もっと単純で具体的にわかりやすい表現はないのでしょうか。
「背中の取り合い」
つまり、相手に背中を見せないポジショニングまた、相手の背中を見るポジショニングということです。実はこの「相手の視野から消えるポジション」でゲーム局面での勝負が決まってくるコトが多いのです。
たとえば、1対1。
ディフェンダーの狙いはゲーム戦術上、状況に応じてどちらかのサイドに追いやるねらいがあります。つまり自分の「胸方向」に相手を追い込んでいくということです。その方向には攻撃側にチャンスを与える危険性が少ないからです。一方、攻撃側は相手ディフェンダーの「背中方向」をつけばチャンスは広がります。つまり、1対1ひとつをとっても「背中」の取り合いが「チャンスとピンチ」のかけひきということになります。
次に、自分のマークしている相手にパスが入るシーン。
自分がサイドバック、相手がサイドのフォワード(ウィング)です。イメージしてみてください。相手中盤の選手から自分のマークしている選手にパスが通ったとします。このとき、マークしている位置は同じでも、立ち方が問題です。マークしている相手に「背中」を見られている場合、「裏」を取られてしまいます。しかしながら、同じ位置でも相手「背中」を見られていない立ち方ならば「裏」は取られません。
不思議なことに「同じ位置」でおこる現象です。どれだけ具体的に「背中」の取り合いが重要で、そのための立ち方が大切なのかがわかります。
相手の縦パス(くさびのパス)に対する対応。
相手センターフォワードにマークをしているセンターバックをイメージするとわかりやすいと思います。日本ではインターセプト(自分のマークする相手パスされたボールを前で奪うこと)を優先しながら、相手とゴールを結んだ線上がマークすべきポジショニングを基本としています。その基本プラス、応用として相手の背中が見える位置に「消えておいて」、「わざとパスを呼び込み」、「インターセプトを狙う」かけひきができたら、守備の目的である「ボールを奪う」ことによりつながります。
背中の取り合い・・・その駆け引きは日本の伝統的な遊びのひとつである「鬼ごっこ」のに隠されています。
日々の遊びのなかにDSやカードゲームに加え、鬼ごっこや缶けりが復活するのを期待しています。
[地面にある浮いたボール?]
アラス.コラム vol.13
今回はパスのお話です。
以前ヨーロッパであるコーチから
「サッカーはパスゲームである。」
という言葉を聞いたコトがありました。一番大切なのはもちろんゴールへのパス・・・つまりシュートを決める。そう攻撃の目的です。また、ゲーム中に味方プレーヤー同士のパスが繋がっていればボールを失い失点するリスクも少ないというわけです。さしずめ勝利への近道といったところでしょうか。それだけ ”パス” は重要な要素なのです。
日本ではどちらかというと
「ドリブルの上手い選手=よい選手」
という方程式が成り立っているように感じます。確かにいざ個人のチカラで突破を図り2人3人4人と相手DFを切り裂きゴールシーンを演出する姿は魅力的なコトに間違いはありません。私も若いころは単にそういった見方をしていた時期もありました。しかしながらいつのまにか
「状況判断からくるねらいのあるドリブル」と「プレッシャーから逃げるためのドリブル」を見分けるようになりました。
つまり、受けてがねらいを持ったいい状況でボールを受けるためには、いかに出してのパスの質が重要なのかということがわかります。
では、パスは一体何処に出したらいいのでしょうか?
基本的な戦術で考えれば、ゴールへのパス、つまり、シュートでしたよね。次になるべくゴールに近い選手・・・それらのタイミングを逃すとだんだんゴールから離れた選手へのパスを選択していくコトになっていきます。近代サッカーでは守備の組織が堅いため、なかなかシュートまでいけないのですが、その固い守備を破りゴールを奪うのが近代サッカー。そう、固い守備破り決まった美しいゴールは、私たち見る側に大きな感動を与えてくれます。(きっとピッチの選手はもっと感動しているのでしょうね!)
では、もう一度!・・・パスは一体何処に出したらいいのでしょうか?
①「足元」 ②「スペース」・・・この2つだけ。
これならパスを受ける選手も明確に動きを味方に伝えるコトができます。足元からいきましょう。たとえば、DFラインでセンターバックがサイドバックに横パスを入れるシーンを思い描いてみてください。もちろんマークされている場合です。サイドバックの選手はラインへ向かって開きながら前を向いてボールを要求しています。日本では選手の前方のスペースへ緩いスピードのパスを入れるシーンばかりが目に付きます。もしも前方のスペースへ強いパスを入れたらラインを割ってしまうでしょう。このようなパスは、「地面にある "浮いた" ボール」に見えて仕方ありません。
「浮いている状態」とは、ルーズ(50%)なボールという意味です。
プレミアリーグやセリエAなど、ヨーロッパの強豪リーグではあまり見られません。むしろインステップでのグランダーで「足元」に「ピッ!」と合わせてきます。足元なら強いグランダーのキックの質が重要です。次にスペース。ひとつは相手の裏、つまり背後へのパスのシーンです。たとえば、ボランチ(中央の選手)からサイドアタッカー(フォワードもしくはサイドハーフ)がDFの背後に抜け出した状況を思い描いてみてください。日本でもここへのパスをよく狙っているシーンは見かけませんか?しかしながら、相手ゴールラインを割ってしまう場合の多いことに気がつきます。
実は、転がった後「ボールが地面で浮いている」のです。
右サイドへのパスなら、右回転のボール。しかも、初速は速くてもバウンドしたら味方選手に近づくようなボールが最適です。相手GKやDFから離れていくボ-ル。
地面にあって浮いていない状態のパス。
つまりは「キックに判断が入ってパスとなり、初めて地面で浮かないボールとなるのです。
日本の素晴らしいパスサッカー+α(個人のチカラ)・・・
是非実現することを期待したいモノです。
[ゴールデン・エイジ]
アラス.コラム vol.14
今回は「ゴールデン・エイジ」のお話です。
サッカー選手を育成する過程において、特に8歳から13歳くらいまでの年代をそう呼びます。見たコトをすぐに表現できる「即座の習得」をもたらす年代を「ゴールデン」というわけです。確かにこの事実はに誰もがうなずけそうなのですが・・・。
「見た事をマネするコト」だけに捉われていていいのでしょうか。
卓球界のあいちゃんこと、福原選手をイメージしてみてください。種目は違いますが小さい頃から努力し、後には海外でも経験を重ね、夢のオリンピック選手にまで成長した彼女・・・。けして見たものをマネするだけではなく、きっと自分で体験した失敗や成功を感じ、そして工夫し、自分の特徴を生かす努力を惜しまず、結果一流の技を身につけていったのだと想像しています。コーチが上の立場から選手を見、見せたモノを習得するコトに執着していたとするならば、ここまでの成長ぶりは実現できなかったかもしれません。(あくまでも想像ですが・・・)スポーツを概念で考えるならば、ただ単に「余暇活動・競技・体力づくりのために行う身体運動。」・・・というだけではなく、「自分で体験した成功や失敗を感じて努力・工夫し、ルールの中で競い合いながら、自分という人間を成長させることのできる、人間にしか持ち得ない文化」といったところでしょうか。
そんな視点から「ゴールデン・エイジ」の子供たちに何を一番大切に接していけばいいのでしょうか。
本当に難しい部分であると思います。個人的な意見ですが、「自分で観て、感じて、工夫する感性を伸ばしてあげるコト」が大事なのでは・・・と感じています。ありがたいことにサッカー関係者の努力の結果、日本の小学生も技術レベルの高い選手はどこにでもいる時代となってきました。しかしながら、「観て判断する能力」そして「プレーを選択する能力」は日本では一般的に中学生以上から取り入れられる場合が多いようです。
今まで早すぎると思っていた「自分で観て判断する能力」の開発は、まさに今、「サッカー界のゴールデン・エイジたち」一番必要な部分なのではないでしょうか。
海外の選手は17歳~21歳くらいまでに、本人の持っている能力を開発しきってしまう傾向があります。イングランドなどではユース年代の選手がA代表のゲームに出てきます。日本人はというと・・・いわゆる遅咲き。つまり、20代半ばすぎでもまだまだ成長する伸び幅を残しています。これは、ゴールデン・エイジの時期に伸ばすべき能力が残っているからと考えるとなるほど説明もついてきます。
今まで当たり前と思っていた概念の先へ、勇気を持って取り組む時期にきているような気がしています。


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